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debsy asuka

でなければならない」

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でなければならない」

でなければならない」

 

 一瞬、俊冬がなにをいっているのか理解できなかった。

 

「あのなぁ……

 

 が、すぐに思いいたった。

 

 俊冬は、昔の刑事ドラマの取り調べのシーンのことをいっているのである。

 

『なぁ、魚尾紋消除 俊冬よ。吐いちまえよ。その方がラクになれるぞ』

 

 そんな感じだろうか。

 

「あんなのはドラマだけだ。実際、取り調べでカツ丼なんかとるものか」

 

 そういいながら、その当時の刑事ドラマだと、カツ丼を出前するのは岡持ちだったんだろう。だけどいまどき、つまり現代だと「Ubr Eats」なんかがするんだろうなって、どうでもいいことをかんがえてしまった。

 

「だから、そんなことじゃない」

「たま」

「たま先生」

「たま先生、ぽち先生は?」

 

 ちょうど副長もやってきた。島田と相棒、それに市村と田村もいっしょである。

 おれの怒鳴り声をきいたのか、そのタイミングで厩から安富と蟻通と伊庭がでてきた。

 

 安富はお馬さんたちと親密なときをすごしていたが、蟻通と伊庭はひと眠りしていたのである。

 

 ナイス、市村と田村。

 おれでは尋ねにくいことも、かれらならストレートに尋ねてくれる。

 

 かれらは、悪気などまったくない無垢な天使みたいに、俊冬にまとわりついた。

 

 やはり……

 

 俊冬も抜かされている。

 もちろん背を、である。

 

 俊冬は市村と田村にまとわりつかれ、じゃっかん上目遣いになりつつ「世の無常」に気がついたらしい。

 

 いや……

 

 これまでごまかし、目を背けていた事実を嫌でも思い知らされたと表現した方がいいかもしれない。

 

 副長似のイケメンの眉間に、本家もびっくりなほどの皺が濃く深く刻まれた。

 

 ふふん。みんなどんどん背を抜かされればいいんだ。そして、現実がどれほど無慈悲で冷たいものかを思い知ればいいんだ。

 

 俊冬の眉間の皺をみつめつつ、心の中で快哉を叫んでしまった。

 

「たま先生、ぽち先生はどこにいるのですか?」

「ぽち先生の怪我は、大丈夫なのですか?」

 

 かれらの身長が伸びるということは、ごく自然な出来事である。それが、人体の構造である。逆にいうと、成長しない方がおかしいし不自然である。

 

 ゆえに、かれらはちっとも悪くない。

 

 たとえここにいるほとんどの大人に不快感をあたえようが、絶望を知らしめようが、かれらはちっとも悪くない。

 

 ちっとも悪くないのである。

 

 だけどきみたち、竹の子じゃないのだから、そろそろ縦に伸びるのはやめておこうぜ。

 

 そう忠告をしたくなってしまう。 

 

「鉄、銀。悪いけど、ちょっと離れてくれないかな?」

 

 俊冬は、やわらかい笑みとともに二人にお願いをした。

 

「ええっ?たま先生までそんなことをいうのですか?」

「最近、みんなちかづくなっていうのです」

 

 二人にちかづいて欲しくないのは、おれたちだけではないらしい。

 

 かわいそうだが、そこは男の矜持を護るためということで、素直に受け入れて欲しい。

 

「ごめん。主計がそうしろっていうからね」

「また主計さん?」

「ひどすぎる」

 

 ちょっ……

 

 俊冬、またおれをはめるのか?

 

 親父にいいつけてやる。「主計さんのことはどうでもいいです」

「うん。もう諦めているし」

 

 ぐっ……

 

 どうでもいい?諦めている?

 

 どういうこと?

 

「ああ、そうだった。ぽちのことか?大丈夫だと思う。まだ、生きているみたいだから」

 

 俊冬は、さらっとしれっとざっくりと答えた。

 

 そのあまりにもテキトーすぎる答えに、この場にいる全員が唖然としている。

 

 いや、俊冬。俊春が生きているのはわかっている。そうじゃない。

 

 おれたちは、かれの具合がどうなのか詳細を知りたいんだ。

 

 それから、かれがいまどこにいてどうしているのかも知りたい。さらにいえば、会いたい。会って看病の一つくらいさせてもらいたい。

 

「看病なんて必要ないよ」

 

 そのとき、俊冬がこちらのだだもれの心の中のつぶやきに気がついたらしい。

 

 かれがおれをまっすぐ見、断言した。

 

「唾をつけて「pain, pain, go away!」っていっておいた。だから、眠ったら治る」

「そんな馬鹿な。そんなの、ただの気休めじゃないか。ってか、なんて原始的、いや、野性的なんだ。いくらぽちでも、野生の動物じゃないんだから眠ったら治るってことはないだ……

 

 そこまでいいかけ、思いなおした。

 

 俊春なら、どんなことだってあるあるだ。

 

 ちなみに、「pain, pain, go away!」は、日本でいうところの「痛いの痛いの飛んでいけー」である。

 

「たま、いいかげんにせぬか。せめて、俊春の様子ぐらいみさせてくれ。どこにいる?」

 

 みかねた副長が助け舟をだしてくれた。

 

「あー、本当に大丈夫ですから」

 

 それでもなお、かれは頑なに教えてくれようとしない。

 

「ねぇ、たま先生。ぽち先生にちょっとだけ会いたいんだ。ダメ、かな?」

「たま先生、ちょっとだけだから。ねっ、いいでしょう?ねぇ、教えてよ。お・ね・が・い」

 

 なんてこった。市村と田村は、さらなる手段を用いてきた。

 

「わかったわかった。兼定兄さんが教えてくれるのなら、案内してくれるはずだから」

 

 そして、せこいかれは対応を相棒にぶん投げてしまった。

 

「それでは副長、そろそろ参りましょう」

「ちょっと待て。ぽちのこともそうだが、おれを狙った連中というのはどうなった?」

 

 いつの間にか、副長が俊冬の懐の内に入っていた。

 

「あなたを狙ったのは三名でした。三名が、ちがう角度から同時に銃を発射したのです。あいつは、二個の

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